sake-brewer’s blog

28歳 蔵元杜氏の日本酒ブログ

日本一の日本酒イベント 西条 酒まつり

 

どうも。B.Cです。

 

みなさんは日本最大の日本酒のイベントである西条の「酒まつり」をご存知ですか?

今回は西条 酒まつりの魅力を語っていこうと思います。

 

目次

 

 

酒まつり

 

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酒まつりは毎年10月上旬の土、日曜の2日間にわたって広島県 東広島市 西条地区の酒蔵通りや西条中央公園を中心に行われる日本最大の日本酒のお祭りです。

毎年第2週の土・日曜に開催されることが多いですが、今年は第一週の6・7日に開催されます。

なんと2日間の来場者数は20万人を超えます。

全国約1000銘柄の地酒の試飲ができる酒ひろばのほか、酒蔵通りでは西条の各蔵元が様々な趣向を凝らした酒蔵イベントを催しています。

 

 

主な会場

 

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酒ひろば

酒ひろばでは全国各地の約1000種類の銘柄が飲むことができます。

昨年は酒ひろばの入場チケットさえ買えばいくらでも飲み放題だったのですが、今年は1杯ごとのチケット制に変更されています。

 

酒蔵通り

西条には賀茂鶴、亀齢、西條鶴、福美人、白牡丹、賀茂泉、山陽鶴の7つの酒蔵が建ち並ふが「酒蔵通り」があります。

酒まつり中は酒蔵通りが歩行者天国となり、各酒蔵が蔵を開放して様々なイベントを催しています。

普段はなかなか入ることができない蔵の奥側や敷地内も解放され、様々なお酒や料理が販売されています。

無料で振舞われるお酒も大量に…

普段は高くて買えないお酒もグラス単位で数百円で飲めたり、酒まつり限定のお酒や鑑評会出品酒などレアなお酒を飲みまくることができます。

ちなみに、酒蔵通りや西条の各蔵は元AKB48川栄李奈さん主演、平成30年10月20日公開の映画「恋のしずく」のロケ地にもなっています。

koinoshizuku.com

KIZUNA会場

KIZUNA会場は酒まつりのメインステージになります。

多彩なライブゲストの演奏を聴きながらお酒や料理を楽しむことができます。

今年はなんと大塚愛さんがメインアクトとして登場するそうです!

 

 

酒まつりのおすすめの楽しみ方

 

昨年の酒まつりに2日間参加してきた私がおすすめの楽しみ方を紹介します。

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加茂鶴酒造



酒まつりは酒蔵通りで西条の7つの酒蔵を飲み歩くのが1番のおすすめです。

酒蔵通りの各蔵は蔵を開放し、様々なイベントを催し、お酒や料理を販売しています。

想像して下さい。

解放された蔵の中で普段飲めないレアなお酒を飲んでいるシチュエーションを…

もう最高ですよ。

しかもその蔵の蔵人や社員さんが、自社のお酒に合う料理を作っているので、お酒と料理の相性は抜群です。

また、同じ水脈の水でも各蔵で酒質が異なり、酒質が異なるということは合う料理も違うのです。

ぜひこの際に7つの蔵を飲み歩いて頂いてその違いを楽しんでいただけたらいいなと思います。

 

 

注意点

 

飲み過ぎない

毎年道端で爆睡している方が何人もおり、救急車が何度も来ます。

酒都西条の美味しいお酒が飲み放題…しかもお祭りの雰囲気の中ではまあ~飲まずには居られませんよ・・・

飲み過ぎてしまうのはわかるのですが、しっかりと和らぎ水やチェイサーを用意し、食べ物と一緒にペースを守り泥酔しないように気を付けましょう。

 

車で来ないこと

飲酒運転は絶対にダですまた、ハンドルキーパーの方がいても駐車場の確保が大変です。

臨時の駐車場が多数用意されますが、会場から離れているためシャトルバスに乗らないといけないなど余計な手間がかかります。

なるべく公共交通機関を用いて会場に向かいましょう。

 

 

まとめ

 

簡単ではありますが、西条 酒まつりの紹介をさせていただきました。

広島は7月の集中豪雨で甚大な被害を受けました。

復興は進んでいますが、まだまだ完全復興には程遠い状況だと聞きます。

酒まつりで広島を盛り上げ、西条や広島県産酒を飲んで復興を後押ししましょう!

 

 それでは楽しい日本酒ライフを!

 

 

B.C

なんちゃって冷卸(ひやおろし)をぶった切る

 

どうも。B.Cです。

近年、日本酒業界にはなんちゃって冷卸が蔓延しています。

今回はその冷卸問題に切り込んでいこうと思います。

また、秋上がり冷卸を勘違いしている方も多いかと思うので、この機会に違いを理解していただけたらなと思います。

 

目次

 

 

 

秋上がり(あきあがり)

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秋上がり(あきあがり)とは冬場に醸造されたお酒が一夏を越す間に熟成して、秋に香味が整い円熟味が増して酒質が向上することを指します。秋晴れともいいます。

逆に、貯蔵条件の不良などによって酒質が下がることを秋落ちといいます。

健全な発酵をしたお酒は新酒の際荒さが目立ちますが、秋上がりしやすい傾向があります。

 

 

冷卸(ひやおろし)

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冷卸(ひやおろし)とは冬場に醸造されたお酒を火入れ(加熱殺菌)した上で貯蔵し、蔵の中で一夏を越して、蔵の中と外気温が同じくらいになった頃に二度目の火入れをすることなく冷や(常温)で卸す(出荷する)酒のことです。

二度目の火入れがないのでお酒は生詰めとなります。

 

 

近年の冷卸事情

 

前述の通り、冷卸は一夏を越えた熟成を楽しむ秋のお酒(生詰)だということが理解していただけたかと思います。

しかし、近年の冷卸はお盆明け、8月下旬には店頭に並んでいます。

お盆明けに店頭に並ぶということは、蔵出しは8月上旬ということが示唆されます。

 

あれ?夏越していないよね???

 

酒蔵、酒販店共にマーケティングの観点から、季節物の先取りということでどこよりも早く売り出したいのでしょうけど、一夏越して外気温と蔵の貯蔵温度が同じくらいになった頃に出荷するということが起源の冷卸を気温が40℃近くある8月中に販売するのはいくらなんでも早過ぎです。

当然お酒の熟成も進んでいないことが示唆されます。

 

もう、なんちゃって冷卸です。

 

私はこのまま冷卸の出荷時期がどんどん早くなるのではないかと危惧しています。

似たような季節物ですが、夏酒(コチラは近年現れた新しいジャンル)も梅雨の時期にはお店に並んでいますし・・・

目先の利益に目がくらんで、文化を破壊していることに気が付いていないのです。

 

 

解禁日を設ける

 

2007年に日本酒造青年協議会から冷卸解禁日について提言がありました。

毎年9月9日(重陽節句)を冷卸の解禁日(発売日)に統一して日本酒業界全体で推進していこうというものです。

  

<「ひやおろし」発売日(解禁日)に関する提言>

 

 日本酒は日本の原点である米と水を原料とし、長い歴史と美しい風土にはぐくまれ、その品質や製造方法などにより多種多様な味わいを特長としている。そして、古来より季節の移ろいとともにさまざまな楽しみ方のできる、数少ない嗜好品のひとつである。

 

 しかしながら近年、食生活や食材の供給の変化とともに日常生活の中で季節感を先取りし過ぎているような状況さえ見受けられる。

 

 そこで日本酒造青年協議会は、失われつつある日本文化と日本人らしい季節感を取り戻すとともに、業界全体の需要拡大の誘導効果を導くためのひとつの取り組みとして、“ひやおろし”の全国一斉発売を提言する。

 

 いうまでもなく“ひやおろし”は、近年定着しつつある季節感をもった商品である。私たちはこの財産を大切に守っていきたい。

 

 日本酒造青年協議会は、以下の提言を積極的に推進し、日本酒業界全体の運動となるべく行動することを決議する。

 

 提言内容=毎年9月9日(重陽節句)を“ひやおろし”の発売日(解禁日)とし、日本酒業界全体で統一して推進することを提言する。

 

 (なお“ひやおろし”の定義には諸説あり、“ひやおろし”の新たな統一した定義について今後さらに検討を深める必要性があるが、当面は「厳寒期に醸造した清酒を一夏越して調熟させ、秋口に入ってほどよい熟成状態で出荷するもの」とする)

                       醸界タイムスWEB版より引用

                       http://www.jyokai.com/?p=1541

 

上記のような素晴らしい提言がありました。

しかし「提言」ですので強制力は無く、我先にと販売している蔵が多くなっているのが現状です。

もう冷卸問題を解決するには、強制力を持った法度を日本酒造中央会が出すしかないのかもしれませんね。

この問題は酒蔵のモラルの問題でしかないので、本当に情けない話です。

 

 

私見

 

私の意見としては9月9日でもまだまだ真夏日が続いていますし、熟成の観点からも冷卸の出荷は早過ぎると考えています。

やはり、酒蔵が日本酒の季節感や旬の美味しさを提供することが「冷卸」という形で文化となって現代に残っていること、次の世代にも伝えなければならないということを考えなければいけません。

10月頃の外気温が蔵の貯蔵温度と同じくらいになり、酒が十分に熟成しきった頃に出荷するべきです。

それが本当の「冷卸」なのですから。

 

 

まとめ

 

これから美味しい食べ物で溢れかえる食欲の秋がやってきます。

ぜひ旬の食べ物と熟成した味わいの冷卸を楽しんで季節感を感じていただけたならと思います。

また、飲み手として近年の冷卸問題についても考えていただけると幸いです。

 

それでは楽しい日本酒ライフを!

 

 

B.C

平成最後の酒造年度

 ご無沙汰しています。B.Cです。

8月はお盆休みや長期出張でずっと蔵を空けていたので、ブログが更新できませんでした…

そして気が付けば8月31日…

平成最後の夏が終わろうとしています。

これから年末にかけて平成最後の○○が増えて、ノスタルジーに浸る機会が多くなりそうですね。

ちなみに日本酒業界では平成最後の酒造年度が既にスタートしているのはご存知ですか?

 

目次

 

 

酒造年度

 酒造年度(醸造年度とも言う)とは酒造業界における1年の区切り方で、毎年の7月1日から翌年の6月30日までのことを指します。

原料であるお米の割り当てを計画する都合上、昭和40年からこの期間と定められています。

英語でBrewery Year、BYと略され上槽(搾る工程)した日を基準として酒造年度が決まります。

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上槽した酒

 今季(2018年7月1日~2019年6月30日)は2018年が平成30年ですので、元号の年数字を用いて「30BY」や「BY30」と記されます。

西暦の年数字を用いて「2018BY」「BY2018」と記す蔵もあります。

 

 

来期は1BY?

上記の通り、元号の年数字を用いるため来期(2019年7月1日~2020年6月30日)の酒造年度は1BYとなります。

過去には昭和や平成の1BYも存在したことから、ラベルに酒造年度を元号の年数字で表記していると少しややこしいことになりますね。

なぜこのような問題が発生しているかというと、つい最近まで酒造年度は表記されてこなかったからです。

日本酒は製造されてから1年以内に飲みきることが一般的だったことや、ブドウの良し悪しで年ごとに味わいが変わるワインと違って、日本酒は味わいを技術でコントロール出来るため毎年同じような製品を造ることが可能であり、さらに新酒と古酒をブレンドすることによって毎年品質と味わいを一定にして出荷していたことなど様々な理由があります。

こういった背景から酒造年度はあまり必要な情報でなかったため、表記されてきませんでした。

来季のお酒ですが、平成1BY(大量にはないでしょうけど)のお酒も存在しますから、安易には1BYと表記できませんね。

今後、酒造年度は「西暦」で統一するなど改正が必要なのではないでしょうか。

 

 

まとめ

今回は酒造年度について解説しました。

日本酒を選ぶ際にラベルから得られる情報の一つとして参考にしてみてください。

そして今季上槽される日本酒は平成最後の酒造年度の酒となります。

平成生まれとして一層気合を入れて美味しいお酒を醸していきたいと思います。

 

 楽しい日本酒ライフを!

 

 

B.C

プロが教える利き酒の手順

どうもB.Cです。

今回は利き酒の手順について簡単に説明していきます。是非参考にして下さい。

 

 利酒 聞酒(ききざけ ききしゅ)

-酒の良否を鑑定すること。またそのために味わってみるみる酒。(広辞苑より)

 

目次

 

 

 

視覚

まず、酒の色調・外観(清澄度、着色の程度)を観察します。

この際、蛇の目の利き猪口を使用するとわかりやすいです。

白磁の部分で、着色の程度を観察します。

蛇の目模様は、清澄度を観察するために優れています。

基本的に日本酒は熟成によって着色していき、味わいも濃醇になっていく傾向があります。

したがって、視覚で熟成感や味の濃さをある程度は見極めることが出来ます。

 

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利き猪口

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蛇の目

 

 


嗅覚

次に、酒の入った容器をそっと鼻に近づけて、酒から漂ってくる「上立ち香(うわだちか)」をみます。

この上立ち香で吟醸香の種類や熟成香の有無、業界人になりますとオフフレーバー(悪いとされる香り)の有無などを嗅ぎ分けます。

そしていよいよ、少量(5ml程度)を口に含みます。

酒を口に含んだまま、空気を口からすすり、酒を舌の上で転がします。業界人が利き酒をする際に「ジュルジュル」と音を立ててしまうのはこのためです。

※飲食店では音を立てるのは控えましょう。

そして、すすった空気を鼻に抜いて口内の香り「含み香(ふくみか)」をみます。

含み香は口に含む分、上立ち香で感じられなかった香りが感じられることがあります。

 

 

味覚

口当たり(なめらかさ、キメ)舌の上の味(甘味、酸味、旨味、苦み)をみます。

そして、飲みこんだ後の後味(キレ)をみます。

ちなみに業界内での利き酒においては、酒は吐き出します。

もったいないかと思われるかもしれませんが、利き酒の度にお酒を飲んでしまうと酔ってしまいますし、多いときで数百点もの酒を利き酒するので飲んでいたら体が持ちません。

思わず飲んでしまいたいほど美味しいお酒も我慢です!笑

 

 

トレーニングによって感度は上げられる 

前回の記事で「ひたすら数をこなせば利き酒は出来るようになる!」というスパルタ理論を繰り広げてしまいましたが、一応私もプロの端くれですので、もう少し分かり易く説明しようと思います。

 

sake-brewer.hatenablog.com

 

まず、味の受容体である味細胞は14日程度、匂いの受容体である嗅細胞は30日程度で全て入れ替わります。

定期的に細胞のアップグレードが行われているのです。

しかし、香りの特徴や味の特徴が言葉で認識できないものはなかなか理解できるようになりません。

ではどうすればいいか・・・それは言葉と特徴を一致させるトレーニングを積むことで容易に理解できるようになります。

つまり、お酒に詳しい人に聞いた酒の特徴と自分の感覚を照らし合わせて、特徴を言葉で表現できるようにするトレーニングをすれば、飛躍的に利き酒能力を伸ばすことが出来ます。

そして、一度特徴を言葉で認識出来るようになると、二度と忘れることはありません

自転車に乗る練習と完全に一緒なのです。

 

 

まとめ

今回は利き酒の手順についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

日本酒の味の違いがわかるようになると、地域ごとの酒質の違いや使用している米、酵母の違いなどを楽しむことが出来るようになります。

しかし、利き酒をすることが一番の目的になり、頭で酒を飲むようになると純粋に日本酒を楽しむことが難しくなってしまいます。

一番大切なことは、お酒は楽しく飲むものであることを忘れないでくださいね。

 

それでは楽しい日本酒ライフを!

 

 

B.C

利き酒について

どうもB.Cです。 

最近、"利き酒が出来るようになりたいのですが、どうすればいいですか?"という質問を多く頂くので簡単に回答させていただきます。

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目次

 

 

 

 大切なこと

まず、一番大切なことは数をこなすことです。

悲しいことに利き酒の上達に裏技は存在しません。

しかし、利き酒は経験を積めば誰でもある程度は出来るようになります。

 

なぜお酒の味の違いが分からないのか。

それは、お酒の味の基準が出来ていないからです。 

我々人間は、赤ちゃんのころから様々なご飯や飲み物を味わうことによって甘味や酸味、塩味などの味の基準が出来ていきます。

例えばカルピスの原液を薄めて飲むとき、個人差はありますが好みの濃さ(甘さ)がありますよね。

その好みの濃さは自分の中に「甘味の基準」が存在しているため「濃い」「薄い」など判断することができるわけです。

 

しかし、お酒は大人になってから飲むことが許される飲み物ですので、食事やジュースなどに比べて圧倒的に味わう機会が少ないため、お酒の味の基準が出来ていないのです。

身体は大人でもお酒に関しては赤ちゃん舌なわけです。

ですから、まずはお酒に触れる機会を増やして自分の中のお酒の基準を作ることが大切です。

 

 

上達のコツ 

コツとしてはかなりベタですが、分かる人に聞くということがベストです。

なぜ我々業界人に利き酒が出来る人間が多いかというと、お酒に触れる機会が多いということもありますが、一番は利き酒が出来る人間が近くにいるということです。

感覚や感じ方は人それぞれ違うため、自分で掴むしかありません。

しかし、何もわからないところから自分で感覚を掴み、基準を作り上げるのにはかなりの時間を要します。

そこで、分かる人の感覚を言葉で共有することで味を理解し、基準を作り上げていくことが一番の近道になります。

その道のプロである地酒にこだわっている飲み屋のマスターや地酒専門店の店主やスタッフ、イベントに来ている酒蔵の人間などに聞いたお酒の特徴と自分の感覚をすり合わせて基準を作っていく・・・これが上達への一番の近道です。

何でも聞ける酒蔵の知り合いがいれば一番ベストですね(笑)

 

 

まとめ

 くどいようですが、お酒の味は飲んでいればそのうち分かるようになっていきます。

私自身、現在は清酒専門評価者(詳しくは一番下のリンクから)という利き酒のプロ免許を持っていますが、業界1年目2年目の時は利き酒なんて全くできず、酒の味もさっっっっっぱり分かりませんでした。

それが3年目くらいで自然と分かるようになってきて、多少勉強はしましたが資格を取得するまでに成長しました。

楽しんで飲んでいればお酒の味の違いは自然と分かるようになりますので、心配しないでも大丈夫です。

それに、お酒は楽しく飲むものですので、利き酒しようと思って頭で考えて飲んでも美味しさは半減してしまいますので注意してくださいね!

最後になりますが、本当に本当に上達したい人は当ブログやツイッターでコメント頂ければアドバイスもできますので、気軽にコメントしてください。

それでは楽しい日本酒ライフを!

 

sake-brewer.hatenablog.com

 

 

B.C

 

貴醸酒

 

目次

 

 

貴醸酒とは

貴醸酒とは昭和48年に国税庁醸造試験所 (現:独立行政法人 酒類総合研究所)で開発されたお酒です。日本酒は米、米麹、水から造られていることはご存知かと思いますが、貴醸酒はその水の全部または一部を日本酒で代用して造られます。言わば日本酒で造った日本酒です。

貴醸酒という名称は「貴醸酒協会」の商標名のため、同協会に所属していないと使用できません。協会に属していないメーカーは「再醸仕込み」「醸醸」「三累醸造」などのように別の名称で商品化・販売を行っています。

 

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貴醸酒のパイオニア 華鳩

 

特徴

貴醸酒は酒から造られた酒ということもあって、味わいは極めて濃厚で、濃醇な甘味と爽やかな酸味を特徴としています。独特の香りや照り、トロっとした舌触りは普通の日本酒では味わえない魅力です。

また、貴醸酒は糖分やアミノ酸が多いことから熟成に適した酒質を有しています。熟成した貴醸酒は綺麗な琥珀色を呈し、レーズンのようなドライフルーツの香りやカラメル様の熟成香と貯蔵により酒中のたんぱく質やペプチドが分解されることでアミノ酸が増加し、味の幅や深みが増していきます。

 

 

なぜ甘口になるのか

一般的に貴醸酒の製造は、三段仕込みの留仕込み時に汲み水の代わりに清酒を添加することで行われます。過去の研究結果から、留仕込みの際に約9~10%のアルコール濃度になるように清酒を添加することで、香味の調和がとれた貴醸酒を製造することが出来ます。

留時に添加する清酒が少量で、初発のアルコール度数が低い場合、通常の清酒とあまり変わらない酒質になり、初発のアルコール度数が12%を超えると、さらに甘口で味が濃くなり調和に欠ける酒質になってしまうことがわかっています。

また、仕込みの際にアルコールが存在すると酵母の発酵力に大きく影響を与えます。清酒酵母はアルコール耐性を有し、発酵によってアルコールを生産しますが、発酵が進みアルコール濃度が濃くなればなるほど酵母自身にとっても過酷な環境に置かれることになり、活動が緩慢になっていきます。貴醸酒製造の場合、酵母は約10%のアルコール濃度という過酷な環境から発酵をスタートするので、活動が緩慢になり発酵のスピードは緩やかになります。

また、醪中には20%を超えるアルコールを生産することが出来る量の糖分が存在しますが、貴醸酒の場合、初発時から10%のアルコールが存在しているため、アルコール度数18%で搾るとすると、発酵によるアルコールの生産は8%程度しか行われません。

そのため、本来アルコールになるはずの糖分が大量に残糖分として酒中に残ります。(厳密に言うと発酵<糖化となり、糖化がが発酵を先行する)

つまり、初発時の約10%のアルコールの存在によって、酵母の発酵が緩やかになり、残糖分が多くなることから貴醸酒は濃醇な甘口になるのです。

 

 

濃醇な甘口でもすっきりしている理由

貴醸酒は通常の清酒と比べて相当甘いのにもかかわらず、口当たりが良く軽快ですっきりしています。その理由として、酸度が約3.0(通常2以下がほとんど)と高く、その酸味が濃醇な甘味と調和していることが挙げられえます。

さらに踏み込むと、清酒には約40種類もの有機酸が含まれており、その中でも乳酸、コハク酸、リンゴ酸の3種類で8割を占めています。

通常、乳酸とコハク酸が同程度含まれ、リンゴ酸はコハク酸の約半量です。乳酸はやや乳製品を感じる柔らかな酸味、コハク酸はゴク味を感じるくどい酸味、リンゴ酸は爽やかな酸味を感じます。

貴醸酒は爽やかな酸味のリンゴ酸の含有量が多く、通常の清酒の約1.5倍含まれています。さらに、くどい酸味であるコハク酸の含有量も少なくなる傾向があります。

つまり、貴醸酒特有の甘くてもすっきりした味わいは、濃醇な甘みと爽やかなリンゴ酸が調和し、かつくどいコハク酸が少ないことが理由として考えられています。

 

 

おすすめの飲み方

貴醸酒の美味しい飲み方としては、新酒はフレッシュさを活かすため冷酒やオンザロックで食前酒や食後酒として、熟成酒は冷酒や常温、お燗にして食後酒やナイトキャップ(寝酒)として楽しむのがおすすめです。

また、貴醸酒は非常に濃厚なお酒ですので、ソーダやトニックなどで割ることでさらにすっきりと飲むことも出来ます。

そして・・・バニラアイスクリームに貴醸酒をたっぷり掛けて、カフェ・アッフォガートの様にして食べる大人のデザートサケ・アッフォガート(私が勝手に命名)は正に至高の味です。大事なことなので2回言いますが、至高の味です。個人的には、濃厚なバニラには琥珀色の熟成物、ソルベやジェラートなどのさっぱり系にはフレッシュな新酒タイプがおすすめです。

 

 

まとめ

今回は貴醸酒についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?

最近は貴醸酒を製造している蔵も増え、徐々に認知度も上がってきた印象を受けます。

デザートワインアイスワインを思わせる濃醇な甘口で食前酒や食後酒、アイスに掛けたりなど日本酒初心者の方でも非常に飲みやすく、一つの日本酒の入り口として非常に取っ付き易いのではないかと思います。

また、日本酒の多様化や高付加価値化のためにも、もっと広まって欲しいですね。

貴醸酒も通常の日本酒と同様に蔵ごとで、フレッシュタイプであったり、熟成感を売りにしていたりと明確に特徴が分かれているので、いろいろと飲み比べてみて好みの一本を見つけてください!

それでは楽しい日本酒ライフを!

 

 

B.C

魂の酒

 

目次

 

 

農口尚彦 杜氏

日本酒好きの人なら、この名をご存知の方も多いかと思います。

能登杜氏四天王」や「現代の名工」など様々な肩書を持ち、「酒造りの神様」とも称される伝説の杜氏です。

農口杜氏は70年もの酒造りのキャリアを持ち、連続12回全国新酒鑑評会金賞受賞を含む通算24回金賞受賞という輝かしい実績を誇り、85歳になった今もなお最前線で酒造りをなさっている正しく生ける伝説です。

 

 

魂の酒

「魂の酒」は2003年にポプラ社から出版された農口杜氏の著書です。

農口杜氏の生き様や酒造りの考え方、職人としての矜持を学ぶことができる日本酒好きには是非読んで頂きたい1冊です。

私自身、読むたびに新たな学びがあるため、定期的に読み直しています。

今回、久しぶりに読み直したので、感銘を受けた内容の一部をほんの少しだけブログにまとめてみました。

 

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魂の酒 農口尚彦 著

 

酒造りは「一麹、二モト、三モロミ」と言うんですが、わしは極端に言ったら「一麹、二も麹、三も麹」やと思ってるんです。

 

「一麹、二酛、三造り(醪)」 (いちこうじ、にもと、さんつくり)

これは、酒造りにおける作業工程の大切さを順番に示した業界用語です。

酒造りにおいて1番大切なのは麹造り、2番目は酒母造り(酛)、3番目は醪の仕込み(造り)という意味です。

しかし、私は麹、麹造りこそが、酒造りの神髄だと考えています。

麹の出来栄え一つで、酒の味わいや香りの立ち方、米の溶け具合から酵母の増殖、発酵のスピードまで酒造りのほぼ全てをコントロールすることが出来るからです。

私は、日本酒造りは麹で決まると考えていたので、農口杜氏も「一麹、二も麹、三も麹」という考えなのかと思うと、名杜氏に少し近づけたような気がして思わずニンマリしてしまいました(笑)

 

 

失敗は杜氏にとっては大事な勲章のようなもんです。失敗はしちゃいかんのですが、しなくちゃわからんのです。

 

酒造りの神様と称される農口杜氏ですら何度かモロミをダメにしてしまった経験があるそうです。

日本酒造りは麹菌や酵母などの微生物の力を借りて造られるものなので、温度や分析値の数値では測れないモノが存在します。

それを如何に感じ取り、最善の手を打つことができるかどうかが杜氏の腕の見せ所なのですが、喋ってくれない微生物が相手ですから、失敗することもあります。

その失敗した時の状貌、数値、感覚、方法、最善の改善策は失敗した人にしかわかりません。

そして、その失敗から学んだことが経験として残って、技術や精神を下支えしてくれるのだと思います。

農口杜氏は70年も酒造りに携わっているわけですから、小さい失敗から大きい失敗まで本当にたくさんの体験をしてきたと考えられます。

その失敗から学んだことが経験という勲章となって、農口杜氏の酒造りに活かされているわけですから、日本中の飲み手を魅了し感動させる酒を造ることが出来るのだと思いました。

私は大学を卒業してから数年間、他社様で酒造りの勉強をさせて頂きましたが、そこではたくさんの失敗を経験させて頂きました。

こっぴどく怒られたりもして、出社したくないような時期もありましたが、失敗から学んだことは多く、今の私の酒造りにも活きています。

そして、これからもまだまだたくさんの失敗を重ねていくと思いますが、その失敗からしっかりと学び、経験という杜氏の勲章に変えて腕を磨いていきたいです。

さすがに会社に大きな打撃を与えるような失敗だけはしたくないですが・・・(笑)

 

 

最後に

現在85歳になられた農口杜氏ですが、今もなお現役で石川県小松市の農口尚彦研究所にて酒造りをなさっています。

農口尚彦研究所は農口杜氏の酒造りにおける匠の技術・精神・生き様を研究し、次世代に継承することをコンセプトとし、夢や情熱を持った若者と共に酒造りをしたいという、農口杜氏の熱い想いを受け止めて設立されました。

農口尚彦復活!「農口尚彦研究所」公式ウェブサイト

農口杜氏の酒は大変人気で、なかなか入手困難なのが現状ですが、「間違いない」酒ですので見かけたら逃さないようにしてくださいね。

先日、現在販売しているシリーズ全てを飲ませて頂く機会があり、酒を通して農口杜氏の生き様を感じてきました。あまりに完成度の高い酒に感動してしまい、帰ってすぐ著書を読み返しました。

皆さんにもこの感動を少しでもお裾分けできればいいなと思い、簡単ではございますがブログにまとめてみました。

是非、著書「魂の酒」を読みながら農口杜氏の酒を飲んで、杜氏の生き様を感じて下さい。

文字通り魂の酒です。

 

 

B.C