Sake Brew Master's blog

28歳 蔵元杜氏の日本酒ブログ

酒蔵見学でのマナー

 

酒造りは目に見えない酵母菌や麹菌などの微生物の力を借りて行われる、非常に繊細で神経を使う仕事です。

そのため、見学の際にどうしても守って欲しい項目を「酒蔵見学のマナー」としてまとめました。

酒蔵見学に行く際の参考にして下さい。

 

目次

 

 

清潔な格好で

 

日本酒は微生物の力を借りて造られる発酵飲料です。

酵母菌や麹菌、乳酸菌といった微生物が複雑に織りなす「発酵」によって日本酒は造られます。

人間に益を持たす微生物反応を発酵と言い、人間の益を害する微生物反応を腐敗と言います。つまり、「発酵」と「腐敗」は表裏一体なのです。

我々清酒製造に関わる人間の仕事は、清酒醸造に有益な微生物が働きやすい環境を整えてあげることです。衛生環境には一番気を使い、なるべく外から雑菌を持ちこまないような努力をしています。(完全に0にすることは不可能ですが…)

そのため、見学者の方にはなるべく清潔な服装で来てほしいと思っています。

 

納豆や発酵食品の摂取を控える

 

杜氏や蔵人は納豆を食べないというお話を聞いたことがありますか?

これは本当のお話で、ちゃんとした理由があります。

日本酒造りの要である米麹を造る際に、納豆菌が混入し増殖してしまうと「スベリ麹」や「ヌルリ麹」と呼ばれる表面がヌルヌルした納豆のような麹になってしまいます。

納豆菌は繁殖力がとても強く、麹菌は負けてしまうのです・・・

スベリ麹は麹菌の増殖や酵素生成が不良なため、良い酒にはなりません。

さらに、一度麹室が納豆菌で汚染されてしまうと、麹室全体を滅菌しないといけません。

こういった理由から、杜氏や蔵人は酒造期間中には納豆を食べないという酒蔵がほとんどです。

現場ではそれほど納豆菌には気を付けているので、酒蔵見学に行く際は、前日からの納豆断ちをお願いします。

同様の理由から、乳酸菌が多く存在するヨーグルトや漬物、表皮に青カビ菌が多く存在するかんきつ類も控えて下さい。

基本的に酒蔵には菌を極力持ち込まないということが重要になります。

 

香水や香りの強い化粧品は使わない

 

醸造製品はしっかりとした貯蔵管理を行わないと、劣化が始まってしまいます。

なかでも日本酒は特に繊細で、温度や太陽光、そして「臭い」の影響も強く受けます。

あまり知られていませんが、日本酒は簡単に臭いを吸着してしまうため、我々は貯蔵環境の臭いにも気を使っているのです。

外的環境の臭いがお酒に移ることを、移り香(うつりが)といい、清酒の官能評価では問答無用でオフフレーバーとされます。

そのため、酒蔵見学の際には香水や香りの強い化粧品の使用を控えて頂けると助かります。

 

上着を持っていくと良い

 

これは酒蔵見学のアドバイスになります。

蔵の中は真夏でも涼しく、冷房環境の整っている蔵ですと寒い思いをするかもしれません。

羽織ることが出来る上着をバックに忍ばせていくことをお勧めします。

 

 

まとめ

 

酒蔵見学のマナーですが簡単にまとめると、前日から発酵食品(特に納豆)を控え、見学当日は清潔な恰好で香水や香りの強い化粧品を使わないということです。

微生物環境が酒質に与える影響は非常に甚大です。

お互いに気持ち良く酒蔵見学をして頂くためにも、ご協力のほどよろしくお願い致します。

気になるお酒が造られている蔵の環境や造り手の想いを知れば、その酒がより美味しく感じると思います。

最近は酒蔵の見学や蔵開きを行っている蔵が増えているので、HPや電話で酒蔵見学の可否を確認し、見学可能であれば予約をしてから伺うようにして下さいね。

それでは楽しい日本酒ライフを!

 

 

B.C